前回、「さようなら」の意味を説明するにあたって、「じつにかんたんなことで、わざわざ調べるまでもないこと」と述べました。しかし、同じように別れの時に使う「あばよ」の語源となると、多少難しくなります。 まずは、同じような場合に使われる、音の似たことばがないかどうか、考えてみます。そうすると、「さらばよ」ということばが思いつきます。「さらば」「さらばよ」は、古くからあることばです。現代語で言えば「そうであるならば」「そうであるならばねぇ」ということです。「じゃあ」「それなら」「さようなら」と、同じ発想のことばです。 この「さらばよ」の幼児語が「あばよ」だったのではないか。そう思って、『日本国語大辞典』を見ると、まさしく、そのように書いてありました。〈さらばをまねた幼児語あば、あばあばの「あば」に終助詞「よ」が付いたもの〉ということです。 ところが、よくよく調べると、これには異説があります。方言学