命による償いは、社会に何をもたらしているのか。これからも必要なのか。連載の締めくくりとなる第4部では、海外の実情も報告しながら、死刑の意味を考えたい。 ◆「誰でも良かった」に不安感、国内外から署名続々◆ 大きな青い仕分け用の箱から、封書の山があふれていた。2007年10月1日、名古屋市千種区にある千種郵便局。「愛知・闇サイト殺人事件」で一人娘を失った磯谷(いそがい)富美子さん(57)は、この日届いた約3万5000人分の署名を受け取った。逮捕された男3人の死刑を求める署名だった。 同年8月24日夜、娘の利恵(りえ)さん(当時31歳)は帰宅途中に車で連れ去られ、ハンマーで殴打されたうえに首をロープで絞められ亡くなった。3人の男はインターネットの闇サイトで知り合い、金目当てで、偶然通りかかった利恵さんを襲った。 「命を奪ったのだから、命で償ってもらいたい」。磯谷さんは9月下旬、ホームページ上で死