急増する自殺の対処に頭を悩ませた総理は、日本一賢い男の元へ行き、この自殺増加を止める方法はないかと尋ねた。 「あるよ」 日本一賢い男はあっさりそう答え、総理は驚喜して、あらゆる手をつくしてそのアイデアを実現した。 それが、自殺認可制である。 自殺認可制とは、各市町村の役場で許可をもらうことで、苦痛なく、安全に、他人に迷惑をかけずに自殺させてもらえる制度である。支給される薬物は“コロリ”と通称され、安らかに、眠るように死ねる、という評判であった。役所の自殺課では、24時間の呼び出しにも応じ、引きこもりのニーズにも対応していた。 マスコミを通じ、“コロリ”の快適さと、人類の権利として、あらたに自殺の権利が認められたことが喧伝された。“コロリ”の通称も、大手広告代理店の売れっ子コピーライターの手によるものだった。 同時に、無許可での自殺は“ダサい”“苦しい”という印象操作を行なった。ネットを通じ