アメリカにおける非良心性の法理からの示唆という副題の通り、研究の中心はアメリカの非良心性の法理の解明にあり、その沿革はローマ法上の適正価格原則やイギリスエクイティにおける同種の原理(著しく不当な契約の拘束力を否定するという救済)にあるという。 これが統一商事法典2-302条で明文化されているところ、その後の判例や学説により内容が補充されてきた。それによれば、手続的非良心性と実体的非良心性とに分かれ、手続的非良心性を構成する要素してはバーゲニングパワーの格差などが挙げられ、実体的非良心性としては給付の不均衡や契約当事者の救済を制限する条項などを差し、その両方が備わっていることが必要と考えられている。 著者は、このバーゲニングパワーの格差を詳細に検討し、日本法上の消費者契約法10条の前段要件と後段要件の解釈論に繋げていくのである。 消費者契約法の10条後段にある信義則要件も、条文上は茫漠とした
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