■ 参議院選挙前の争点として浮上したのが、「年金」であるけれども、やはり雪斎には「どうでもいいこと」に映る。そもそも、雪斎は、「福祉国家」発想のいかがわしさを昔日から論じてきたので、此度の騒動は、その「福祉国家」発想を再考する契機になればいいと思っている。 厚生省という役所が戦時体制の「所産」であることに留意している人々は、決して多くはない。戦後日本の奇態は、戦時体制の「暗黒」を告発するような言辞を普段は吐いている人々が、実はその戦時体制の「所産」である厚生省の「仕事」に寄り掛かるのを当然のこととして振る舞ってきたことである。 雪斎は、年金保険料なるものは、実態としては「福祉目的税」だと思ってきた。だから、「年金が戻ってくる」などは真っ赤な嘘だと思ってきた。問題は、税金ならば、その使われ方は、衆議院予算委員会や参議院決算委員会のような場における審議を通じて国民の眼に曝されるのであるけれども