グローバリゼーションがもたらした国家間の力関係の推移や不均衡は、新たな技術の獲得とそのイノベーションをめぐる新たな国際的な覇権争いを生み出しつつある。それは、国家主導で情報のみならず、情報を基盤とする新興技術を保護し、規制・罰則を強化する動きへと結びついている。 とりわけ情報や技術の獲得競争は、ポスト冷戦期における現状維持勢力(Status Quo Power)のアメリカと、現状変更勢力(Revisionist Power)の中国との技術覇権(テクノ・ヘゲモニー)をめぐる新たな大国間競争という、アメリカの国際政治学者A・ F・ K・オルガンスキーが提唱した覇権移行論(Power Transition Theory)が当てはまる形で表出している。 アメリカは、トランプ政権以降、ファーウェイやZTEをはじめとする中国のテクノロジー企業への規制を強めている。中国を取り巻く国際環境が複雑化し厳しさ