技術が成熟する、ということは、求められる機能が、デザインへと包埋されていく過程なんだろうと思う。 ベテランは無造作に切る 熟練した外科医は、腕を上げるほどに、あたかもそれが簡単なものであるかのようにメスを動かして、 臓器を無造作に切っていくようにみえる。動作はたしかに簡単そうなんだけれど、 「じゃあ同じことをしてごらん」なんて言われても、簡単そうなのに、絶対に再現できない。 内視鏡の大家は、やっぱり簡単そうに、内視鏡を操作する。 上手な人の内視鏡は、最初からそれが当然であるかのように、 カメラはまっすぐ、目標に近づいていく。これを見るのとやるのとでは大違いで、 胃の「地形」はすごく複雑だから、まっすぐ進むのは難しいし、 そもそも自分がどこにいるのか、カメラを始めたばっかりの頃は、胃の中で道に迷ったりする。 手を動かすのは疲れる。手の動かしかたは、だからなるべく疲れないように、 同じ結果を出