モースの古典となった『贈与論』。レヴィ=ストロースやバタイユを初めとして、おおくの思想家に影響と考えるヒントを与えた重要な書物である。すでに何度も論じられているが、まだ読むたびに新しい発見があるのはさすがだ。 現代の世界は資本主義の経済原則で覆い尽くされているかにみえるが、モースは原始社会の贈与の慣行を詳しく考察しながら、古代社会や原始社会で機能しているもっと別の原則を探りだす。モースは文化人類学のさまざまな調査を網羅的に調べながら、こうした社会では、貨幣を使った交換の原則ではおさまらない慣行が多数存在すること、なかでも贈与が経済的な領域をこえた重要な原則として機能していることを明らかにするのである。 こうした贈与は、マリノフスキーが探りだしたように、生を組織し、贈与されたものをもつ人々の生活の楽しみとまでなるものであり、生活必需品や嗜好品の交換と考えてはならないのである。宝は交換されるこ
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