2006年04月18日14:30 カテゴリ書評/画評/品評Math Paved by Roger Penrose - 書評 - The Road to Reality いやあ、脱帽。 The Road to Reality Roger Penrose これはすごい本だ。まだ邦訳はないみたいだけど、オイラーの贈り物を気に入った人ならすぐ注文すべきだ。大丈夫。高校修了の数学力と英語力でちゃんと読み通せるから。騙されたと思って←をポチッとクリックするあるよ。 本書は、理論物理学の第一人者であるRoger Penroseによる、一般ピープル向けの物理および数学の教科書だ。そう。本当に真剣に一般ピープル向け。 The Emperor's New Mindを呼んだ人は、かえって身構えてしまうかも知れない。私もそうだった。ましてや、本書は1000ページを超える大著である。ところが、ページをたぐって見ると
土曜日の朝日新聞に、福岡伸一氏のおもしろいエッセイが出ている。食品偽装問題が発覚したのは、ほとんど内部告発が発端で、消費者にはわからなかった。古い材料も新しいものと混ぜてしまうと、わからないからだ。再生紙の偽装問題も、再生紙が何%混じっているかは消費者にはわからない。しかも古紙を分別するコストがかかるため、再生紙はかえって高くついてしまう。いったん混ぜてエントロピーが増えると、それを元に戻すには大きなエネルギーが必要になるので、「リサイクル」は資源の浪費になることが多い。 これは経済にもいえる。たとえば赤福餅の場合には、古い材料を使ったことを作業員は知っているから、それを混ぜるのをやめればよい。これは単純な情報の非対称性の問題だ。しかしサブプライムローンの残高は、世界の証券市場の1%強にすぎないのに、不動産がらみの証券は世界中で値下がりしている。それは不良債権を証券化して優良債権と混ぜ、
モースの古典となった『贈与論』。レヴィ=ストロースやバタイユを初めとして、おおくの思想家に影響と考えるヒントを与えた重要な書物である。すでに何度も論じられているが、まだ読むたびに新しい発見があるのはさすがだ。 現代の世界は資本主義の経済原則で覆い尽くされているかにみえるが、モースは原始社会の贈与の慣行を詳しく考察しながら、古代社会や原始社会で機能しているもっと別の原則を探りだす。モースは文化人類学のさまざまな調査を網羅的に調べながら、こうした社会では、貨幣を使った交換の原則ではおさまらない慣行が多数存在すること、なかでも贈与が経済的な領域をこえた重要な原則として機能していることを明らかにするのである。 こうした贈与は、マリノフスキーが探りだしたように、生を組織し、贈与されたものをもつ人々の生活の楽しみとまでなるものであり、生活必需品や嗜好品の交換と考えてはならないのである。宝は交換されるこ
『ノーカントリー』70点(100点満点中) NO COUNTRY FOR OLD MEN 2008年3月15日(土)よりシャンテシネほか全国ロードショー 2007年/アメリカ/122分/R-15/配給:パラマウント/ショウゲート アカデミー賞最多4部門を受賞した、コーエン兄弟最新作 最多4部門を受賞し、今年のアカデミー賞最大の話題作となった『ノーカントリー』は、噂どおりの味わい深い一品であった。 ベトナム帰還兵のモス(ジョシュ・ブローリン)は、テキサスの荒野で狩をする最中、銃撃戦の跡と思しき死体の山を発見する。そこで麻薬と200万ドルの現金を見つけ、思わず持ち逃げしたモスは、しかし追っ手に気づかれてしまう。その瞬間から彼は、殺人マシンのような暗殺者シガー(ハビエル・バルデム)に追われるハメになる。 ハイエナのように死体から金をあさる男とそれを追う化け物のようにタフな処刑人。事件の残虐さと異
『魔法にかけられて』85点(100点満点中) Enchanted 2008年3月14日(金)より日劇3ほか全国ロードショー 2007年/アメリカ/108分/配給:ウォルト ディズニー スタジオ モーション ピクチャーズ ジャパン 本家ディズニーによるセルフパロディ 『魔法にかけられて』は、ディズニー映画やTDR大好きなアナタがみたら、ショックで椅子から転げ落ちるか、腹を抱えて大笑いするかのどちらかという大問題作だ。 魔法の国"アンダレーシア"の森で暮らすジゼル(声:エイミー・アダムス)。やがて夢に見た王子(声:ジェームズ・マースデン)と出会い、結婚を目前にした彼女は、魔女(声:スーザン・サランドン)にだまされおそろしい国へと続く穴の中へ突き落とされてしまう。 伝統回帰の手描きフルアニメーションはさすが天下のディズニー、うっとりするような美しさ。だが、かわいらしいお姫様が魔女に追いやられた「
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く