塩野義製薬が開発した新型コロナウイルス感染症の飲み薬「ゾコーバ」が22日、厚生労働省から緊急承認された。欧米などの巨大製薬メーカーがしのぎを削る中、集中的な研究開発体制を組んで、世界で3番目に軽症者向け飲み薬の実用化に成功した。(吉田雄人) 自社創薬比率7割 塩野義の2022年3月期の連結売上高は3351億円で、国内首位の武田薬品工業(3兆5690億円)の10分の1程度だが、自社創薬比率は7割を超える。業界平均(2~3割)を大きく上回り、これまでに、抗HIV薬「テビケイ」や抗インフルエンザ薬「ゾフルーザ」など世界中で使われている感染症治療薬を開発してきた。 ゾコーバの開発は、「社内の研究開発リソース(資源)の7、8割を集中する」(手代木功社長)という異例の体制を整え、臨床試験(治験)の完了前に承認を申請できる制度を活用した。最短でも5年程度とされる基礎研究や初期段階の試験を1年強で終えたほ