1. ピラミッドの方位決定に関するスペンスの新説 古代エジプトの記録には方位の決め方に関する記述はなく、19世紀以降、太陽や周極星の東端と西端を用いた方法などが提案されてきました。 クフ王のピラミッドの方位は、真の方位と角度にして3分程度のズレしかありませんが、時代が下がるほど精度が悪くなり、カフラー王のは6分、メンカフラー王のは14分(この3人はギザの3大ピラミッドを建てた人たち)、そして第5王朝のネフェリルカラー王のピラミッドは30分もズレています。 スペンスによれば、8つのピラミッドについて真北からのズレをプロットすると、2つのピラミッドを除いてほぼ一直線上に乗り(2つについても後で説明されます)、時間とともに精度の変化するような方位の決定法が使われたことが推定される、とのことです。 そこでスペンスは、2つの周極星が垂直になった時の方位(左図の緑の縦線)を使ったとすると、歳差の影響