高齢化や人口減少に直面している北九州市では、災害発生の危険性が高い一部の斜面住宅地について居住を制限する検討に入った。頻発する自然災害への対応という防災面の課題と、人口が減少するなかでの行政サービスの効率化という2つの課題に対応するのが狙い。こうした北九州市の新たな取り組みは、人口減少社会における都市再生の新たな手法となり得るのか――。 不動産価値下落の懸念 「北九州市の場合、都市が成長する過程で斜面地にまで宅地が拡大していったのですが、その際にいわば“無理をして”開発を進めてきたという経緯があります。斜面住宅地の住民の方々も、若いうちは良かったのですが、段々と高齢化が進んでいき、日々の暮らしを送るうえで買い物が困難など、斜面地ならではの不便さも出てきています。一方で、新たな若い住民が増えておらず、まちの空洞化が進んでいます。このような将来的に人口が減少していくことが確実なエリアにおいては