江戸時代は不動産業が日本に生まれる重要な起源ともいえる時期でした。江戸期にはいわゆる「大家さん」と呼ばれる人たちが出現しており、土地や家屋の売買も活発におこなわれていたことが、さまざまな資料で明らかになっています。 この時代がその後の不動産業に与えた影響は、小さいものでなかったと思われますが、ここでは「江戸」でおこなわれていた不動産売買や賃貸業の概要、そして明治に至り首都機能を担うことになる町の礎を見ていきます。 土地所有権と売買 江戸時代になると、太閤検地を引き継いだ江戸幕府の検地により、農地に関しての所有者・面積・石高がリスト化され、管理されるようになりました。一方、農地以外の町人地や武家地・寺社地にも “所有権” が認められており、町人地は権利証にあたる「沽券」が土地所有者に交付されていました。 慣用句に「沽券にかかわる」という言葉があります。 “プライドが傷つく” のような意味につ