以前、友人Aと歩いていたときに、Aが財布を拾った。 中身は5千円ほどだったけど、カードなども入っていた。 財布を拾った場所の近くに交番などが無かったので、私はAに、 「近くの店とかに預ければいいじゃん」と言ったのだが、Aは「交番に届けた方が確実」と言った。 Aの言い分が正しいと私も分かってはいたので、しぶしぶそれにつきあった。 交番に行きがてら、友人は小さい頃の話をしてきた。 Aの家は、割と貧乏だった。そして、親戚づきあいもあまりなく、お年玉をもらったことがなかった。 毎年、冬休みがあけて周りの友人が「いくらお年玉をもらった」という話でもりあがっているのを、彼女は悔しい思いで聞いていたらしい。 しかし、小学校5年になって、Aは初めてお年玉をもらった。 「Aちゃんももう高学年だもんね」 母親はそう言って、お年玉をくれた。中身は千円。 周りの友達に比べて額は少なかったが、