私たちが1日に吸い込む空気の量は、約1万5000リットル~2万リットルと言われています。人が1日に摂取する物質のうち飲み水は8%、食物は7%、室内の空気が57%と圧倒的に多いのですが、水や食事ほど空気の健康への影響を気にする人は少ないように思います。けれども、新型コロナウイルス感染症の経験を踏まえて、換気の重要性が指摘されるようになってきました。 マンションでは、24時間換気システムなどの機械換気設備の設置が義務づけられていますが、どんな背景があったのでしょうか。建築家の佐川旭さんに聞きました。 「昔の日本家屋は風通しの良いつくりで、空気を出すのも入れるのも自然に行われていました。ところが冷暖房が普及して、通気の良い家は冷暖房効率が悪く、高気密・高断熱化が進みました。 しかし、高気密の家は常に意識して空気を入れ替えないと空気が汚れます。また、湿度が高くなるためカビ、ダニなどが繁殖しやすくな