泣けなかったのだ。映画が悪いんじゃない。たまたま自分のメンタルが凄まじく低調で、感情が希薄になるレベルにまで落ちていたのだ。まあそれが持ち直してきたのでこれを書いてるんだけど、その時は映画を最後まで冷静に観て、なぜこの映画は人を感動させるんだろうなんてことをていた。一方で、情動がない分、こまやかにに表現された世界に対するロジカルな理解というか、納得感を得た。 巨大な戦争の中で続いていく、ちいさな暮らしを描写したこの作品に、ハリウッド映画のような分かりやすい物語の構造は見えづらい。けれど分解してみれば、きちんと物語の軸がある。 戦争という状況を抜いてしまえば、これはシンプルなメロドラマだ。流されて嫁いだ主人公すずが、自分の生活を作り、愛に確信を得ていく物語。結末で、その愛が運命であることが語られる(ここだけファンタジーになるのが巧い)。あとで原作を読んだけれど、そちらではメロドラマとしての性
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