社会・一般 感情を捨て、冷静な議論をしよう 私の専門は数学である。数学の世界では、感情の入り込む余地がないので、感情を排して冷静な判断をすることは得意だ。しかし、その反面、はっきりものを言いすぎるかもしれない。 しかし、我々は、今こそ感情を排した議論をすべきではないだろうか。 物議を醸した巻頭言 私は、自らのはっきりした物言いで物議を醸したことがある。 10年以上前のことになるが、私は、ある数学関係の雑誌の巻頭言を頼まれて「人類と自然淘汰」という題名の文章を書いたことがある。その内容は、「人類には天敵がいないので自然淘汰に晒されておらず、遺伝的に弱くなる心配がある。このままでは危ないのではないか」というものだった。つまり、医学の進歩で、乳幼児の死亡率は低く、人間の場合、生まれた子供は、余程のことがない限り、成人するが、これは生物学的に異常なことであり、弊害が生じるのではないか。