7~8年前、実際にあった話だ。3日も一緒に仕事をすれば化けの皮がはがれるインチキジャーナリストAがいた。打ち合わせの段階で対談相手から聞き出した情報を、まるで自分が集めてきたかのように話すので、相手はよく怒っていた。 実力はからきしないが、一流国立大学出身のAは箔をつける狙いもあり単行本を某出版社から出した。 ところがその単行本はルポライターBの作品を剽窃していたことが、初版を出して間もなく暴露された。「て・に・を・は」まで一緒というのだから丸写しもいいところだ。世間をなめているとしか言いようがない。 筆者はAをよく知っていたので、驚きもしなかった。一流の部類に入る出版社の編集者は、Aのインチキ加減をなぜ見抜けなかったのだろうか?担当編集者に電話して聞いた。 「Aは知識もないし、まして自分で取材なんてできるタマじゃない。話していて分からなかったのですか?」 「そ、それが分からなかったんです