ひりつくような都会の孤独、愛の不毛を、研ぎ澄まされた映像で描き続けてきた台湾の巨匠ツァイ・ミンリャン。その集大成と呼ぶべき「郊遊〈ピクニック〉」が、9月6日から公開される。主人公が、悲しみと怒りをぶつけるようにキャベツをむさぼり食う場面が圧巻だ。「食べることは人間の原初的な行為。観客は鏡に映る自分を見るような思いになるだろう」と語る。 中年男が広告看板を掲げ街頭に立つ。その幼い息子と娘はスーパーの食品売り場をうろつき、試食の品で空腹をしのぐ。夜、水道も電気もない空き家で3人は身を寄せ合い、娘は人形の代わりにキャベツを抱く。 「人間立て看板というのは奇妙な存在だ。中年男が立っているのを見て、彼の人生を想像したのがこの映画の出発点。映画では高級マンションの広告を持たせた。アジア各国で広がる格差を象徴する光景だ」 1992年の第1作「青春神話… こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続き
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