井戸川射子(いどがわ・いこ)さん(34) 川が好きだという。流れ、光り、呼吸する川が。「日によって違って見えるのが好きなんだと思います」。大阪中心部を流れる淀川を書きたい、との思いから動き出した物語は「書かれるべきことはすべて書かれていた」(高橋源一郎さん)などと選考委員から高く評価された。 詩人の顔を持つ高校の国語教師。「詩を教えるのが難しく、自分で書けば分かるかなと思って」2016年に詩の投稿を始めた。18年に発表した第1詩集で中原中也賞を受賞。「著者の体験と重ねて読まれがち」な詩と異なる自由を小説執筆に見つけた。今回の受賞作が初の小説集だ。 第2子妊娠中に書き始めた表題作は、近くに淀川が流れる児童養護施設が主な舞台。親友との日々や女性教師からのセクハラなど大小の出来事が、小学生の主人公・集(しゅう)の目線で描かれる。関西なまりの筆致は、淡々としながら温度を持ち、少年の心の機微をすくい
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く