7月に入り、連日雨降りが続く合間を縫って1台の蓄音器が寄贈されてきた。 「バラバラになってますので、部品どりに使われても構いません。お任せします」とのことだった。 蓋の形状からみると大正末期か昭和初期に作られたもののようだ。 「THREE(すりー)―Z(ぜっと)」と蓄音器名のブランドシールが蓋裏に貼られていた。初めてみる蓄音器だ。 ゼンマイを回してみると回転したので、切れてはいない。 サウンドボックスの針先をちょこんと指ではねてみると、そこそこの音色を奏でた。これなら修理してみる価値がありそうだ。 ばらけてしまっている本体部分にボンドを塗って組合わせ、ひもで固定し一晩置いた。 ゼンマイも取り出し、グリス、ミシン油をさす。錆びたネジ、ヒンジ部分にも丁寧に給油した。 2重ゼンマイで、回転を安定させるガバナーは3個の錘(おもり)ついているので、しっかりとした作りといえる。 ただ本体下の見えないレ