韓国の全羅北道群山(グンサン)市とソウル近郊の仁川(インチョン)広域市には共通点がある。ともに19世紀に開港し、戦前から華僑が居住するなど、中国との関係が深いことだ。今回は、韓国の中の「中国」を探訪する。(群山、仁川 藤本欣也、写真も) 群山市内でタクシーに乗り、行く先の薬局名を伝えると、50代ぐらいの運転手は顔をほころばせた。 「知っていますよ。子供のころ、薬を買いに行ったものです。懐かしいなあ」 小さな商店街に「中国長壽堂薬局」はあった。店長で群山華僑協会会長の★(刑のつくりがおおざと)広義氏(71)が店の外で待っていてくれた。 1945年、中国山東省栄成市で生まれ、家族とともにソウル近郊の仁川に移住。6歳のとき、朝鮮戦争の戦火を逃れて群山にやってきた。大学の薬学部を出て71年から店を経営している。 「チャイナドレスを着るのも結婚式のときぐらい。普段の生活で自分が華僑だと意識することは
★アクション編(上) 東映の黄金期を支えたアクション映画。数多くのアクションスターが育つなか、ひときわ輝いていたのが千葉真一(77)。同社元宣伝部長の福永邦昭(76)が千葉の思い出を語った。 日体大の器械体操選手で1964年の東京五輪候補でもあった千葉だがケガにより断念。中退して東映の第6期ニューフェイスに合格した。 「体操で鍛え上げた肉体と抜群の運動神経で、新しいアクション俳優の誕生と騒がれたが、東映が彼を生かしきれなかった」 しかしキャリアを重ねるうちに演技力が評価され、当時5歳の真田広之と共演した主演作「浪曲子守唄」(66年)や「やくざ刑事」(70年)シリーズがヒット。68年からはテレビドラマ「キイハンター」で本格的なアクションドラマをお茶の間に持ち込み、一躍スターダムに。そして73年、福永自身も思いもよらない出来事に遭遇した。 「千葉の主演映画のバンコクロケの途中、香港に立ち寄った
BSで再放送されている朝ドラ『あまちゃん』も来週末で最終回となるが、今年の4~8月は並行して地上波のドラマ10『美女と男子』をたっぷり楽しませてもらった。 毎週火曜夜10時から48分間で連続20回。しかもメリハリをつけた3部構成。近ごろのドラマは初回や最終回が拡大版となるケースが多いが、全20回をぶっちぎりでぐいぐい見せてくれる連ドラは珍しい。 仲間由紀恵が扮する弱小芸能プロの女性マネジャーがスカウトした新人イケメン俳優(町田啓太)とレッドカーペットを目指す話。『あまちゃん』同様に、劇中歌あり(一発屋のベテラン歌手・たどころ晋也にふんした高橋ジョージが唯一のヒット曲「ハローマイラブ」を毎回のように歌い、こちらも覚えてしまった)、劇中映画あり(町田が幻のモスクワ五輪出場を目指す水泳選手役で主演する「リ・ターン」)…。 ほどよいリアリティーで毎回ニヤニヤしながら見られた。再放送される可能性は十
世界3大映画祭のひとつで、9月からイタリアで開催される第72回ベネチア国際映画祭。主要賞を競うコンペ部門の候補作から日本映画が漏れる事態に、映画関係者には失意のため息が広がっている。さらに同時期に開催されるモントリオール世界映画祭でも、早くも日本映画の劣勢がささやかれているというのだ。 先月29日にベネチアの候補作が発表されたが、日本映画が外れる一方で、アジアからは中国のチャオ・リャン監督のドキュメンタリー映画が選ばれた。 「今回ベネチアの審査員には、『悲情城市』やカンヌで監督賞をとった『黒衣の刺客』のホウ・シャオシェン監督が入っています。台湾出身ですが、日本映画はコンペから外れているので、中国映画が有利との見方もすでに広がっています」と映画雑誌編集者。 そして、8月27日から開幕する第39回モントリオール世界映画祭。 昨年は、吉永小百合(70)の「ふしぎな岬の物語」が、審査員特別賞グラン
香港の人気スター、ドニー・イェン(51)の右腕としてスタント・コーディネーターを務めた映画「スペシャルID 特殊身分」(公開中)が話題の谷垣健治(44)。昨年は映画「るろうに剣心」でアクション監督を務め、一躍注目された。 ジャッキー・チェンに憧れた少年時代。「和製ドラゴン」倉田保昭主宰の倉田アクションクラブに4年いたが、香港映画がやりたくて、大学卒業後、あてもなく香港へ。しかし、そこでは逆境が待っていた。 「まずビザがなかなか下りず、生活も苦しかった。最初は1日50ドルのゲストハウスに泊まっていたが、そのうち友人のつてで市営住宅に。お金? エキストラで何とかしのぎました。ファストフード店で知り合った人がエキストラの派遣会社をやっていたんです」 撮影現場で日本人は目立つ。1年ほどして香港スタントマン協会に入会し、ドニーと出会う。スタッフの一員になったが逆境は続いた。「渡航4年目、97年ぐらい
「アジア映画の専門館」として、ファンの人気を集めていた映画館「シネマート六本木」(東京・六本木)が6月14日に閉館されることが決まった。韓流映画などを多く上映していたこともあって、ファンや業界から悲鳴が上がっている。 「シネマート六本木」の閉館は先月29日、運営元のエスピーオー(SPO)が発表。閉館の理由については、建物の賃貸借契約が8月8日で満了するためと説明している。 同館は、2006年3月に4スクリーン、座席数440席で開業。「アジア映画の専門館」として、アジア映画作品を中心に独自のラインナップで上映してきた。「欧米の作品にくらべ、アジアの作品は大きな小屋で上映されることが少ないので、貴重な映画館だった」と映画関係者。 韓流ブームのころには多くの韓国映画が上映されたこともあって、ファンには欠かせない劇場の一つ。閉館が発表されると、ネット上でも「韓流映画といえば…のSPOさんだし、まさ
私が手掛けた本の多くはセクシーな写真集や、芸能界の裏ネタ本だが、このほど、『言えたらCOOL!チャイニーズスラング 中国俗語大辞典〈Vol・1〉』(展望社)というユニークな本をプロデュースした。著者は、ブロック幸子さん。米バークリーの大学在学中に中国に渡り、北京大に学んだ名古屋在住のバツイチ三十路女性である。 中国人が日常的に使う「俗語」を分かりやすく48のエピソードにまとめた言いたい放題の作品だ。「うせろ」「どアホ」「くそっ」など、教則本には絶対載っていない罵詈雑言を中国語に訳している。これが、先週の発売と同時に大反響をいただいている。 私の経営する小さな出版社がある東京・新橋は終電が過ぎると、いくら取り締まっても中国語の客引きが絶えない“無法地帯”と化す。「ここは本当に東京か?」と住んでいる私でさえ思う。 また、私が夜な夜な出没する上野駅近くの盛り場では中国系娘たちの色仕掛けによる昏睡
BS朝日で『熱中世代』という番組を日曜の午後3時から放送しています。進藤晶子さんと一緒に司会をしているのですが、今週のゲストは、宝田明さんでした。宝田さんは、第一回目の『ゴジラ』に主演していたり、ミュージカル界を代表するスターだったりするので、その話をいろいろとお聞きしようと思っていたのですが、2歳から中学2年まで、旧満州のハルビンにいた時の話に胸を打たれました。 父親が満州鉄道に勤めていた関係で、宝田さんはハルビンで育ちます。その当時、ハルビンは、中国人やインド人、朝鮮人、白系ロシア人たちが集まった国際都市だったといいます。それを陸軍は『五族協和』というスローガンで語ったのです。けれど、宝田さんの実感としては、狭い道を歩いていて、中国人や朝鮮人と会うと、彼らは伏目がちに進路を譲ったと言います。五族が平等に協和なんかしてなかったという、分かりやすい例です。 宝田さんは精鋭関東軍の元で、
舞台上の講師が、身振り手振りを交え中国語と英語のフレーズを交互に繰り返すと、集まった数千人の聴衆も続いて復唱する。共産主義のアジテーションを彷彿とさせる光景だが、これはかつて全国に1000万人以上の生徒が在籍したという英会話教室「クレイジー・イングリッシュ」の様子だ。北京五輪前後まで、全国各地の公園や広場で繰り広げられていた光景だ。 ところが今、中国で“英語不要論”が高まりつつある。 『南方都市報』によると、’16年の全国大学統一入試「高考」では、英語の配点比重が引き下げられ、逆に国語(中国語)が引き上げられる見込みだという。漢字が書けないなど、若年層の国語力不足が社会問題化しているのが理由だ。 さらに今年5月には、中国教育学会の会長が、’17年の高考の受験科目から、英語を除外する用意があると発言。ネット上の世論調査でも、回答者の約55%が英語除外に賛意を表している。 若者の国語力
今月7日、94歳で亡くなった元参院議員で女優の山口淑子(やまぐち・よしこ、本名・大鷹淑子=おおたか・よしこ)さん。旧満州のスター李香蘭として知られ、昭和とともに激動の人生を歩んだ彼女は、祖国日本と、生まれ育った中国のはざまで苦しみ続けていた。 山口さんは7日午前、心不全のため、東京都千代田区の自宅で死去。元秘書で千葉県市川市議の寒川一郎氏(78)が最後に会ったのは8月中旬。「大変だけど頑張れ」と激励された。 戦時中「李香蘭」として日中で活躍。終戦を上海で迎えた彼女は、日本に協力した中国人として死刑になりそうになったが、日本人であることが証明され、国外追放処分となった。 寒川さんは中国での出来事が忘れられない。宿泊地だった上海競馬場の近くのホテルで「外へ出て眺めでも…」と誘ったが、「昔、そこで銃殺されそうになった場所だから出ません」と話した山口さん。「今でもあのときの山口さんが目に浮かびます
この原稿は夜明け前の北京で書いている。中国社会科学院主催の「日本の戦略的趨勢(すうせい)と日中関係」と題する論壇(フォーラム)に招かれたからだ。東京からの参加者は著名学者ばかり。どうしようか、と考えたが、せっかくの機会なので顔を出すことにした。日中間の議論は予想通り平行線だったが、雰囲気は決して悪くなかった。ここでは筆者自身の発言のみをご紹介したい。 8時間もの会合で発言の機会は2回あった。1回目は日中関係についてこう述べた。 ◆日本と中国の戦略的関係を「日中関係」なる小さなプリズムだけで見てはならない。グローバル・普遍的価値の観点から見れば、現在の日中関係は米中間の矛盾の重要な一局面でもある。 ◆安倍晋三首相の外交政策の基礎は既に民主党時代から始まり、今や国内のコンセンサスと国外の多国間ネットワークに支えられている。中国側は安倍首相を目の敵にするが、同首相が交代すれば日本の長期的政策が変
香港の映画スター、ジャッキー・チェン(60)の息子で歌手のジェイシー・チャン容疑者(31)が中国の警察当局に麻薬使用の疑いなどで逮捕された。世界的アクション俳優の子息が犯した薬物スキャンダルは衝撃を与えたが、その裏で、習近平国家主席と江沢民元国家主席による熾烈な権力闘争の影響がチラついている。「江氏の権威失墜が、今回の逮捕劇を招いた可能性がある」(専門家)というのだ。一体どういうことなのか。 「これは何だ?」 箱に入った巻きたばこのようなものを示し、問い詰める捜査官。帽子をかぶった男性が観念したようにつぶやく。 「大麻です」 国営の中国中央テレビが19日に放送したのは、麻薬押収現場での生々しいやりとりだった。 捜査官に厳しく追及されるこの男性。北京市の警察当局が14日に麻薬使用の疑いなどで拘束したジェイシー・チャン容疑者だ。中国紙、新京報(電子版)によると、チャン容疑者が身を寄せていた北京
アジアの歌姫として出身地・台湾はじめ香港、日本、中国などで今なお絶大な人気を保つテレサ・テン(享年42)。BSフジが制作した生誕60周年記念特別番組で、テレサが愛した家族や故郷との絆を、肉親や関係者のインタビューを交えながら紹介。テレサの名曲もたっぷり盛り込み、ファン必見の内容だ。 冒頭から名曲「別れの予感」でグッとテレサの世界に引き込まれる。今年も命日には、台湾に眠るテレサのもとを多くのファンが訪れた。テレサのすぐ上の兄が語る。 「この時期は家族にとってはつらいが、ファンが集まってくださって、友達に再会できたり、また新しい友達ができたり。妹を思い出すと悲しくなる。一緒にいられる時間が短かったから」 14歳でデビューし、16歳で主演映画が作られ、人気スターとなったテレサ。活動の舞台はシンガポールなど東南アジアに広がり、やがて第2の故郷となる香港に進出。ここでは、テレサの住居で身の回りの世話
今年も9月5日に韓国・ソウルのヘオルム劇場で「ソウルドラマアワード」が行われる。この祭典は8回目を迎え、今年は全世界48カ国から歴代最高の225作品が出品された。エントリーされた作品は委員会で審査され、授賞作品が選ばれる。これに先立ち日本と韓国、中国、台湾の作品を対象に、出演者の人気投票もオンラインで実施された。 過去には日本のドラマも健闘し、2007年には「のだめカンタービレ」が、2010年には「JIN-仁-」が優秀賞を獲得。さらに同年、「シューシャインボーイ」がグランプリに選ばれ、柳葉敏郎が登壇した。昨年はJYJのユチョンらとともに宮崎あおいも人気賞に選ばれている。 今年はチャン・ドンゴン主演の「紳士の品格」が注目され、クォン・サンウと東方神起のユンホが共演した「野王」も話題に。日本のドラマ「愛なんていらねえよ、夏」をリメイクした「その冬、風が吹く」も気になるところだ。また、近年、勢い
中国で先月、開催された第16回上海国際映画祭のコンペ部門を競った12作品のうち唯一の日本作品「爆心 長崎の空」でヒロインを演じている。 「私は小籠包が好きです」と中国語で舞台挨拶して会場の心をつかんだ。国際映画祭のレッドカーペットを歩いたのは初めて。「映画のテーマに合わせて、服も黒を選びました」。 原作は芥川賞作家、青来(せいらい)有一氏の『爆心』。原爆投下から半世紀以上の時が流れた長崎で大学に通う清水(きよみ)がヒロインだ。彼女を起用した理由について日向寺太郎監督は、「彼女の生き生きしていて明るいところ」を挙げる。その笑顔を封印して映画に臨んでいるから余計に哀しみが強調されるのだろう。 彼女は言う。 「日本の再生を描いた映画です。明るい映画ではないので笑顔はなく、言葉少ない現場でした。でも美しい空を撮るために寒い2月に撮影するのも腑に落ちたし、スタッフはベテラン揃い。モチベーションが高く
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