・いま言うと、笑い話のように聞こえるかもしれない。 ぼくは、発明家というものに憧れていたのだった。 ずっとそのことを忘れていたが、ふと思い出した。 小学生のころ、子どもの読む本のなかには、 たくさんの「偉人の伝記」があった。 図書館や書店の児童書の棚に、ナイチンゲール、 リンカーン、ガンジーなどのカタカナ名前が並んでいた。 そのなかで、ぼくは発明家の「エジソン」を選んで読んだ。 小学生向けの本の主人公エジソンは、 貧しくて変わった子どもだったが、 やがては世界の「発明王」と呼ばれる人物になる。 白熱電球も、蓄音機も、映写機も、エジソンの発明である。 これはいいなぁと、少年だったぼくは思った。 野球の選手や宇宙飛行士もいいけれど、無理だと思った。 発明をたくさんする仕事のほうが、 じぶんのできそうなことに近いような気もしていた。 だから、「発明発見物語」的な本を読んだりもしてたし、 なにかと
