【個人化と周辺事象】 ■「個人化」とは総じて、権利としてでなく事実として与えられる、他者たちの行動とは比較的無関連に行動しうる領域の、増大として考えることができる。行動には「貧乏揺すり」のような意識しない行動も含まれるし、「妄想に耽る」といった思考行動も含まれる。 ■キリスト教がそうであるように、戒律が規律できない内面に、照準するコミュニケーションが社会的に広がることが、「どういう内面を持つかは自分次第だ」という意識を拡げることもある。その意味では、中世キリスト教社会において、既に個人化は始まっていた。 ■こうした宗教的な個人化とは別に、今日専ら注目されているのはアーキテクチャ的な個人化である。アーキテクチャとは元々建築構造のことだが、人々がその非自明性や人為性を意識することの少ない、しかし本来は人為的な、物理的・制度的な行動前提のことだ。 ■家族風呂の有無、車の有無、子供部屋や書斎の有無