異様なまでの執念で政権に居座ってきた菅直人首相がやっと正式に退陣表明した。昨年6月8日の菅内閣発足から26日までの445日間は「不毛な空騒ぎ」の日々だった。組織を知らず、心の機微を理解できず、大局を把握できぬ「市民派・首相」の歪(ゆが)んだ政治主導とそれを取り繕う嘘の数々…。あえて教訓を読み取るため失政の軌跡をたどった。(阿比留瑠比)天災が人災に… 「与えられた厳しい環境の中でやるべきことはやった。一定の達成感を感じているところだ」 26日夕の記者会見で首相は、衆参ねじれ下の政権運営をこう自賛した。ねじれを生じたのは自らが率いる民主党が参院選で大敗したからではなかったのか。そんなことはすっかり忘れたかのように首相は40分間にわたりひたすら自己正当化を続けた。 東日本大震災は未曽有の天災だった。東京電力福島第1原発の事故も歴史的惨事だ。ただ、その前後に日本を襲った多くの不幸な事象は首相が起こ