from sg. 『ずれてなどいない』 00 ずるりの音楽の根底には、常に肥大するエゴへの警告が強く込められているように思う。 もっともデビュー当時のずるりに、一聴してすぐ伝わるだけの急進性なり社会性が備わっていたわけではない。そもそも彼らは、カート・コバーンより深い絶望を、トム・ヨークよりネガティヴに(といってもその程度のネガティヴさは、90年代以降の自称ロックに腐るほど存在するのだけれど)、山口隆よりトチ狂った風情で、吉野寿よりレンズの厚い眼鏡をかけて歌い上げるバンドだった。 それだけでも十二分に「エモーショナル」と形容されうる圧倒的な存在感を、彼らは早くも黎明期より身につけていた稀有な存在だったわけだが、その肥沃な土壌をベースに、次なるもう一歩を踏みだした傑作こそが、この第6弾マキシ・シングル「ずれてなどいない」だったと言えるだろう。 自らのバンド名をそのまま正面切って否定し、過去と