日本企業がアメリカで知財訴訟に巻き込まれた場合に、日本の弁護士/弁理士と依頼者の間でなされた意見交換について秘匿特権があるかどうかが問題となります。日本の弁理士にも秘匿特権を認めるアメリカの判決が出ていることからこの問題は解決したと思っている人が多いですが、そ の理解はかなり怪しいので気をつけなければなりません。 知的財産に関わる事件は国境をまたいで争われることが多くなっています。コモンロー(英米法)の国(アメリカ、英国、オーストラリア、カナダ)の 民事訴訟では、相手方に証拠の開示を要求することのできるディスカバリー制度がありますが、その対抗手段として、依頼人には、弁護士と依頼人の間 でなされた通信や文書について秘匿することのできる特権(attorney-client privilege)が与えられています。 一方、英国以外の欧州や日本のようなシビルロー(大陸法)の国にはこの秘匿特権が法律
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