Delmore Schwartz, In Dreams Begin Responsibilities and Other Stories とりあえず、表題作の "In Dreams Begin Responsibilities" を読む。 自分の父と母が結婚する前(つまりは自分が生まれる前)のある日の光景を、語り手が、夢でも見るように映画館で見ているという摩訶不思議な短編小説。1909年のある日の光景を映しだすそのフィルムは、バイオグラフ社のサイレント映画のようだと、語り手によって形容されている。「珠玉の」という言葉はこの小説のためにあるのかもしれない、と思わせる、実にユニークな作品だ。 この小説もローゼンバウムの本で知った。デルモア・シュワルツは日本ではほとんど無名の作家といっていいだろう。翻訳も数えるほどしか出ていない。このユダヤ人作家は、ほとんどこの短編集一つで、というかこの表題作一