ナカコーが戻ってきた——中村弘二のソロユニット=iLLの新作、その名もずばりの「ROCK ALBUM」を聴いて、そう快哉を叫ぶファンは多いだろう。 エレクトロニックでアンビエントな全曲インストの1stアルバム「Sound By iLL」と、それに続き雨のフジロックフェスティバルで行われた勝井祐二(ROVO)との無限回廊を彷徨うようなアブストラクトなノイズ音響演奏から2年。まるでヴェルヴェット・アンダーグラウンドのような内省的で陰鬱な前作「Dead Wonderland」を経て、ほぼ全曲が歌もので占められた「ROCK ALBUM」は、スーパーカー解散以来あえて封印していた、甘美な毒を感じさせるサイケデリックなギターサウンド、違和感と心地よさが絶妙に同居するコードワーク、美しくポップだが決して俗っぽくならない、翳りを帯びた歌メロが満載の、まさに「これぞナカコー!」と言いたくなるような、彼ならで