レッドソックス、地区優勝の原動力の一人となったのは、今季途中から抑えに回ると、連続アウトを37人にまで伸ばし、球団記録を更新するなどした上原浩治だ。上原のファストボール(直球)の平均球速は、89マイル(約143キロ)程度。「クローザーにはパワーピッチャーを」が常識のメジャーでは、極めて異例だ。その140キロを少し超える程度の速球で上原は、抑え、結果を出している。 なぜか? 三振の数に対して四球が少ないとか、WHIP(1イニングあたり、何人走者を出したか)が低いとか、被打率が低いとか、いろいろな分析や捉え方があるけれど、それは結果を評価しているのであって、「なぜ、抑えているか」を分析したものではない。 では、なぜ相手が143キロの真っすぐに翻弄されるか、だが、対戦打者らに聞いて共通するのは、その“質”である。彼らは揃って、「伸びてくるようだ」と話す。現実にボールが、重力に逆らって伸びることは