いま評判の池谷裕二「進化しすぎた脳」(ブルーバックス)に面白いエピソードが紹介されていた。 〈報酬系〉というのはやっぱり脳の部位なんだけど、これをはじめて見つけた経緯というのが面白いんだ。ケージ(飼い籠)のなかでネズミを入れて、そこにレバーを設置しておく。同時に、ネズミの脳に電極を刺しておく。それで、ネズミがレバーを押すと自分で自分の脳を電気刺激できるような装置をつくる。 ネズミを観察しているとわかるんだけど、絶対にレバーを押したがらないところと、レバーを押すのを好む場所とが出てくる。たぶんだけど、刺激されると気持ち悪いとか気持ちいいとか、そういうのがネズミにもあるんだね。 で、あるとき、ものすごい場所が見つかったんだ。そこに刺さった電極に電流が流れ刺激が加わると、ネズミはもう死ぬまでレバーを押し続ける。きっとね、すごく気持いいんだよ。快感なんだ。つまり、そこに電気を流して神経を活発化させ