妊娠をきっかけに仕事を辞める女性たちがいる。妊娠中の過重な働き方で、体調を崩したり、胎児が危険にさらされたりしたことが理由だ。子どもを産む手前で、仕事との両立を断念する女性たち。当事者に事情を聞いた。 「シフトを急に変えるのは難しい。亡くなった子どもを取り出す処置は、次の休みに受けて」 関東地方に住む20代の看護師は昨年春、上司の言葉に耳を疑った。勤務の間をぬって受けた妊婦健診で胎児の心音が止まっていると告げられ、慌てて職場に連絡した時のことだった。 職場の人員はぎりぎり。みな目が回るほどの忙しさだった。結局、女性はその後数日間、亡くなった子どもをおなかに残したまま、いつもと同じように出勤し、残業も夜勤もした。「心が壊れそうだった」 こうした職場の対応について、母子愛育会総合母子保健センター(東京)の中林正雄所長は「医学的には、妊娠初期であれば、すぐに処置しなくても、特に母体に問題はない。