■ 雑誌じゃない、というのは置いといて。『思想地図』第二号。第一特集は「ジェネレーション」。その内実は家族論、労働論、世代論争論の三本柱で、ロスト・ジェネレーション問題などが流行っていた時期に作られただけあってそのうちの労働論(「労働と創造の新しい関係」)が特に面白い。以下でも、この部分に絞って解説する。 労働論、すなわち、世の中の労働問題に対する言論によるアプローチは大きく分けて二種類しかないと思っていて、一方は当事者個々人の心情に向けた自己啓発的な論調であり、もう一方は制度設計者や政治に関わろうとしている人たちに向けた政策論的な方法ではないだろうか。今回の『思想地図』で言えば、たとえば橋本努さんの「対抗的創造主義を生きよ!」はまさに前者のアプローチであると言えるだろう。 彼はまず、近年の「労働の理想」を体現しているとされている医者、弁護士、ジャーナリスト、建築家、デザイナー、アナリスト