「活字好き」なんて言葉があるが、昨今電子版組が増えて、ページをなでると文字ごとに膨らみがある「本当の活字本」は、実はほぼ絶滅の危機に瀕している。 「活字好き」と「本好き」とは、そのうちイコールで結べなくなるにちがいない。 そもそもが、活字=本というのは行き過ぎた話である。 『書物』という書物の中で、森銃三は、「活字本ばかり読んでると、人間に深みがでない」という説を紹介している。今では「活字本以外に本があるんですか?」と聞き返されそうな意見である。 日本で活字印刷が普及するには、欧米に比べれば遥かに遅く、明治に入ってからである。活字印刷の技術を知らなかった訳ではないし、日本人は本を読まなかった訳ではない。それどころか驚くべき識字率と書籍販売量を誇っていたのである。 それが活字導入については逆に仇になった。江戸時代の出版の主流を占めたのは、いうまでもなく版本(木版刷りの本)である。一文字づつ活
![国書の持つ歴史の厚みと「活字本」の歴史の薄っぺらさ/『国書総目録』](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/659a2e5aa88a9c160def97d15f9b00684de8cc33/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fblog-imgs-55.fc2.com%2Fr%2Fe%2Fa%2Freadingmonkey%2F2brain_biggests.jpg)