東京は神田にある柳森稲荷神社です。本殿にお祭りされているのは倉稲魂大神(くらいなたまのおおかみ)といって、いわゆるお稲荷さんのことです。 ところがこの神社で有名なのはお稲荷さんではなくて、かたわらにある小さなお社。 お社の前にあるのは……えっ、タヌキ?! この小さなお社に祀られているのもお稲荷さんだそうです。福寿稲荷といって、五代将軍綱吉公のお母さんである桂昌院という人が江戸城内で信仰していたのもだとか。 お稲荷さんならお使いは普通はキツネです。それがここではなぜかタヌキ。おタヌキ様の神社なのです。 それというのもこのお社を作った桂昌院様が、八百屋の娘でありながら三代将軍家光公の側室に迎えられたことに由来します。「他を抜いて」玉の輿に乗った院の幸運にあやかりたいと、大奥のお女中たちがタヌキ(多抜き)の神様として崇拝したのがはじまりだとか。 境内のあちこちにおタヌキ様の像があります。このタヌ