欧州で未曽有のインフレが続いている。10月のユーロ圏の消費者物価指数(CPI、速報値)は前年同月比10.7%上昇。統計で比較可能な1997年以降で過去最高を6カ月連続で更新した。英国のCPIは9月に前年同月比で10.1%上昇し、約40年ぶりの高水準だ。 欧州の生活者の大きな関心事はエネルギー価格だ。どの国でもガス価格が前年に比べ急上昇しており、各国政府が補助金で価格上昇を抑えるもののバラツキがある。ドイツのように財政が豊かな国は2023年から電気やガスの上限価格を導入するが、それが十分にできない国もある。 こうした中、注目されている製品がある。省エネ性能の高いヒートポンプ式の暖房・給湯機だ。 「ヒートポンプ式への引き合いが強く、作り切れない」。うれしい悲鳴を上げるのは、パナソニック傘下で空調事業を手掛ける空質空調社の道浦正治社長だ。「この1年の売り上げは前年の2倍以上になっている」と話す。