がんへの理解進めたい 先月23日、フリーアナウンサーの小林麻央さん死去のニュースが日本を駆け巡った。34歳。歌舞伎俳優、市川海老蔵さん(39)の妻として、2人の幼い子どもの母として、光り輝く人生を歩んでいたさなかの旅立ち。伝えられる優しさや強さ。麻央さんが生きた軌跡は語り継がれるだろう。 しかし、同じ乳がんで進行度が最も高いステージ4を患う者として、麻央さんをただ賛美し、感動的な物語に仕立てる風潮には疑問を覚える。がんという病への理解が進まず、患者が抱える問題が置き去りにされる気がするからだ。 麻央さんの病に関する報道には、違和感を覚えるものも多かった。例えば昨年10月、麻央さんがブログに「ステージ4だって治したい」と書いた時は、メディアで「ステージ4」の文字が躍った。その言葉が「死」を連想させるからではなかったか。
誤った発信、許されない がんの治療に関する情報があふれている。中には、最新の医学とはかけ離れた治療法を勧めるものも多い。私は乳がんを患い、当事者の視点も含めてくらしナビ面で昨夏から「がんステージ4を生きる」、「がん社会はどこへ」の連載取材に携わってきた。現代医学の恩恵を受けている者として、日本人の2人に1人ががんにかかるとされる今、患者が安心して治療を受けられる社会を実現させたい。そのためにも、誤った情報発信は断じて許されない。 放置のすすめ、上がる反論の声 近年、注目を集めるのが元慶応大医学部講師・近藤誠氏の著書だ。近藤氏は「がんは放置すべし」などと、現在のがん医療の根幹を否定する。2012年、文化的業績に対して贈られる「菊池寛賞」を受賞、同年出版の「医者に殺されない47の心得」は100万部を突破した。 しかし現場の医師からは「本を読んでがんを放置した結果、病を悪化させる患者がいる」「救
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く