18 June 2010 世界的な農業害虫アブラムシのゲノム解析から、その細胞内に棲む共生細菌との驚くべき関係が明らかとなった。 アブラムシは、植物の師管を流れる液(師管液)を餌として吸い、世界中の農作物に大きな被害を与えている。およそ5000種が知られているアブラムシの生物学的特性について理解を進めれば、効果的な防除法の開発に役立つと考えられる。アブラムシは、昆虫の中でもとりわけユニークで複雑な性質をもつ。例えば、同一のゲノムをもつ個体であっても、環境条件に応じて変幻自在に姿を変えることができる。また、アブラムシは師管液のみでは生存できず、師管液にない栄養分を共生細菌に補ってもらっている。 このほど、国際アブラムシゲノム解析コンソーシアム(IAGC)は、アブラムシで初めてゲノム解読に成功した1。IAGCが解析対象としたのは、エンドウヒゲナガアブラムシ(Acyrthosiphon pis