シン&エルンスト『代替医療のトリック』(新潮社、2010) サイエンスライターと、代替医療に関わってきた学者との共著。 主張は明確で、鍼・ホメオパシー・カイロプラティックなどの代替医療には「期待されている効果」が認められない、というもの。本書の最大の美質は、代替医療を「メカニズムが科学的に理解できないから」否定するのではなく、「実際の効果に関する臨床試験に基づく」分析から、それらがプラセボ以上のものではないことを導き出している点である。(日本ではほとんど一般には話題にならないが、外国では代替医療への科学的研究の成果がかなり積み上げられつつあるようだ) 著者は「科学的には理解されていなかったが効果が臨床試験に耐えたもの」として「壊血病に対するレモンの摂取」を、「広く受け入れられていたにもかかわらず統計的には効果があるとは見なされ得ず否定されたもの」として「瀉血」をあげて対比する。 科学的知識