「ドコドンドコドン」。大分県臼杵市の海と山に囲まれた体育館に太鼓の音が響く。来春の閉校を控えた市立豊洋中学校での最後の文化祭だ。少子化に伴う学校の統廃合は、全国で進んでいる。「最後の…」もニュースではよく見かける話。しかし、ここが少し違うのは、実は2年前に今年3月末での閉校が決められていた、という点だ。それなのに、市は1年間の閉校延期に踏み切った。そこには、最後に残った3年生11人の「母校で卒業したい」という強い思いと、その意志を受け止めた大人たちの決断があった。 【動画】最後の文化祭で「逃げ恥」恋ダンスを披露する生徒たち 臼杵市は豊後水道に面した自然豊かな土地だ。平安時代に岩壁に彫られたとされる摩崖仏「臼杵石仏」(国宝)や醤油製造などで知られ、中学校の校区には造船所も立ち並ぶ。人口は3万8千人余り。この40年で1万2千人減り、減少傾向は続いている。 話は2年前にさかのぼる。2014年1