東南アジアから世界を理解する 加藤 久典/中央大学総合政策学部教授 専門分野 宗教社会人類学、東南アジア地域研究、比較文明学 本ページの英語版はこちら 日本にとって東南アジアは、地理的にそんなに遠くに位置しているわけではない。風光明媚なリゾート地や手工芸品、伝統舞踊や伝統音楽は日本人にも人気がある。東南アジアを訪れる人も多いだろう。加えて、東南アジアは物価が安い、つまり企業にとっては安価な労働力が保証される生産の拠点として魅力のある場所だ。近年では、いわゆるミドルクラスが増えるにしたがって東南アジア地域が企業にとって商品を売る市場にもなりつつある。日本の国際的戦略見地からも東南アジアは重要地域で、公的機関からの援助も多く、民間の非政府組織の活動も盛んだ。 東南アジアと日本 そこで日本人が陥りがちな罠がある。上から目線の態度だ。東南アジアの人々は概して戦後奇跡的復興を遂げた日本に対して敬意の