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レバノン人はカルロス・ゴーンにかまっている暇はない 「レバノンといえばカルロス・ゴーンですよね!」 2019年12月に日産の元会長カルロス・ゴーンが日本からレバノンに逃避行した。私はその頃、レバノンにたまたま滞在していて、日本に住む知人たちから上記の言葉を言われることが多かった。しかしいまいち、ピンとこない感じが続いていた。 というのも、当時のレバノンはゴーンどころではなかったからだ。2019年10月から続いていた反政府抗議デモと、それに伴う経済の悪化で人々はかかりきりだった。むしろ日本人向けに「ゴーンの家の前には日本の報道陣が大勢いて、車が通れないから困っちゃうのよね!」と笑い話として話す程度で、そんな会話の後、今日のデモで何が起きているのかをレバノン人同士、熱心に話していた。一大金持ちの脱出劇よりも、自分たちの国がどうなるのかという重要な局面だったのだ。 宗教・宗派がついてまわるレバノ
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