今はもうなくなってしまった八王子医療刑務所に収監されていた知人がいた。 その人からちょっとだけ塀の中の話を聞くことができた。 なんでも大げさに話す人だったのでどこまで本当かはわからないけれど…… ほんらい医療刑務所は病気の受刑者を収容する刑務所だけど、その人は病気だったから八刑に入れられたのではなく、健康体だった。 医療刑務所には健康な受刑者もいる。その人たちは、病気の受刑者の世話をするのが刑務なのだという。 詳しくは聞かなかったが、医師や看護師ではない無資格の人でもできるような、いわば介護のような作業なのだろう。 刑務というと机を並べて家具や土産物を作ったりみたいな手作業をイメージしてたけど、そういう刑務もあるのだね。 八刑の医療補助みたいな刑務はラクなので、受刑者の中でも職業がサラリーマンとか知識階級とかの、比較的まともな人が送られるのだという。 八刑の中ではバタバタ人が死んでいたとい