一般的に、大気中の二酸化炭素濃度が高まるのは良くない。 酸素濃度の変化もよくないが、今回は二酸化炭素の話だ。 大気中の炭素分を人工的に固定しようとすれば、膨大なエネルギーが必要になる。 まして、大気量が宇宙船とは比較にならない月面基地の話である。 月面基地の自給自足のため、農耕施設の拡張はかなり高い優先順位で行われている。 これは、月面基地が人類の開拓最前線として、宇宙への定住を大きなテーマとして掲げていることに発しており、作ってしまえば低コストで二酸化炭素吸収源として運用できる見込みである緑地帯には予算が付きやすいのだ。 計算上は、一人の排出する炭素を帳消しするのに数ヘクタールの緑地が必要などと計算値は出されているものの、それも眉唾であり、少なくとも向こう十年は馬鹿でかい炭素除去装置をフル稼働しなければいけない。 さて、緑地といえども『壁の外は死の世界』でおなじみの月面基地では、やはり室