平田オリザが読む 私の名前「オリザ」はラテン語で「稲」という意味で、戦中派の父が、どうか息子は食いっぱぐれがないようにと、宮沢賢治の「グスコーブドリの伝記」からとってきたらしい。 宮沢賢治は一八九六年、明治三陸大津波の年に岩手県花巻に生まれ、一九三三年、昭和三陸大津波の年に三七歳の若さで亡くなった。生前はほとんど評価はされず、没後、遺稿の出版が相次ぎ急速に知名度を高めた。 「銀河鉄道の夜」は一九二四年に着想、執筆。その後も推敲(すいこう)、改訂が繰り返され、現在流布しているストーリーは、戦後もしばらくして発見された第四次稿と呼ばれる作品である。 物語はジョバンニとカムパネルラという二人の少年が、銀河鉄道に乗って宇宙を旅する形で進んでいく。そして結末、カムパネルラは川で溺れそうになった友人を助けようとして亡くなっていたことが明らかになる。 この不思議な童話は、多様な解釈を許容する。私は、この

