もちろんラーメンズのネタはお笑いとしてもおもしろい。たくさん笑って、たくさん驚きのあるネタです。しかし、そのネタを支えているのは緻密に組み上げられた構造的美観です。小林賢太郎さんの知的な演技も、片桐仁さんのマッドな演技も、その構造の一つと思ってしまいます。すべての言葉が、すべてのプロットが複雑に絡み合い、一つの有機的なネタを構成しています。谷崎は「饒舌録」の中で「日本の小説に最も欠けているところは、此の構成する力、いろいろ入り組んだ話の筋を幾何学的に組み立てる才能、に在ると思う」と、当時の日本の文壇を批判しています。この批判が的を射ているかどうかはわかりませんし、芥川がこの谷崎の論に反論しているように、現代日本には高い構造力を有した作家は多く存在します。ただ、ことお笑いのネタとして、ラーメンズのネタと同じような「構造的美観」を有しているネタは稀です。クオリティ的にも、規模的にも。 (小田垣

