アレクセイ(田中幸一) 「定義」とは「約束」である。それは「先験的決定事項」ではなく「便宜的取り決め」でしかない。だから、言葉によって定義される概念とは「万人共通 一定不変」のものではない。「定義」そのものよりも、その言葉を有効に使用することを優先する世界では、「定義」は「一応、こういうことにしておきましょう」というレベルで「取り決め」として固定される(化学用語など)。ところが芸術や文化にかかわる部分では、実用性よりもむしろ「定義」の妥当性の追求の方が重要とされる。「SFとはなにか?」「本格ミステリとは何か?」「アバンギャルドとは何か?」「文化とはなにか?」「言葉とは何か?」などなど。……周知のとおり、これらには「大筋の定義(定義のようなもの)」はあったも「普遍的に妥当な定義(本来の意味での「定義」)」は未だ存在していないし、その性質上、この先も存在し得ないことだろう。……これは「自明