良かった。長男は大学に行っていた。私のほうが家を出る時間が早かったため、今日も休むのだろうかと心配していた。 彼はゴールデンウィークに近所の遊園地へ出かけていった。生まれてはじめてのアルバイト体験。何人のグループなのか聞き、座席へ割り振っていく。安全バーがきちんと装着されているか確かめ、コースターが戻ってきたら預けた荷物を客が忘れていないかどうかチェックする。「だから僕はわかるんです、あ、あの人だって」 ひどい音、軌道上に停まっているコースター、その時点では長男は死亡事故だとは思っていなかったそうだ。しかし急いで場内のお客さんの安全確保のため向かった現場下で、不意打ちのように痛ましい現実を知る。その現場下のありさまを見てしまい精神的な打撃を受ける人が増えないように、またなにより犠牲になられた女性の尊厳のために、すばやく彼は行動した。いつもはどちらかというと気弱で繊細な長男が、気丈にもその場