建築史家・倉方俊輔さん(大阪公立大学教授)が建築を通して世界の都市を語るロングランセミナー(Club Tap主催)。今回取り上げるのは、アメリカ合衆国建国の地・ボストンだ。18世紀に遡る歴史的建築物から21世紀の巨匠建築家の作品まで、多様な建築を見ることができる。倉方さんは「アメリカのモダニズムの最も良質な部分に触れられる街」と語る。 「ボストンに限らず、アメリカ人は建築を大事にします。資本主義の本家と言える国であるにもかかわらず、古い建物を簡単には壊さず、リノベーションで価値を高めていく。歴史が浅く、多様なルーツを持つ人々が集まるアメリカにとって、建築とは、自分たちの理想や共同体を具現化するために重要な存在なのです」。 1797年に完成したマサチューセッツ州議事堂はアメリカ独立当時の「フェデラル(連邦)・スタイル」という様式だ。正面に列柱と三角形のペディメントがあり、その上にドームが載っ