2013年11月7日のブックマーク (2件)

  • 横光利一 『機械』 - 蟹亭奇譚

    初めの間は私は私の家の主人が狂人ではないのかとときどき思った。 横光利一 『機械』 冒頭にこんなことが書かれているが、どう考えても狂っているのは語り手の 《私》 のほうである。そう解釈するほうが辻褄があう。《私》 が住み込みで働くネームプレート工場の主人について、主人のから 「金銭を持つと殆ど必ず途中で落してしまう」 と聞かされるが、いくらなんでもそんな性癖は存在しない。《私》 は騙されているのである。ほかにも、工場の同僚二人とのやりとりは台詞を除くと、ほとんどが 《私》 の思いこみ、誤認、誤解、妄想のたぐいとしか思えないものばかりだ。(再読したら、台詞さえカギカッコで括られたものは一つもなかった。) 全く使い道のない人間というものは誰にも出来かねる箇所だけに不思議に使い道のあるもので、このネームプレート製造所でもいろいろな薬品を使用せねばならぬ仕事の中で私の仕事だけは特に劇薬ばかりで満

    横光利一 『機械』 - 蟹亭奇譚
  • 会話が禁止されている、静寂を楽しむ空間。高円寺「アール座読書館」

    誰しもが一人でゆっくりと、静かな空間にいたい時がある。それは何かをじっくりと考えたい時や、悩んでいる時、ゆっくりとを読みたい時、ただただぼーっとしたい時など理由は様々ですが、そんな人におすすめな空間が高円寺にあります。高円寺駅から徒歩3分の場所にある「アール座読書館」。とある学長がFacebookでシェアをしていて、その3日後くらいにここに初めて足を運びました。 R座読書館は、緑と水槽に囲まれた小さな読書カフェ。ここでは会話が一切禁止されていて、注文の時も小声で話す必要がある。水の音とスピーカーから流れ出る音楽が上手く重なり、とても心地よく、席によってカフェの雰囲気や音の聞こえ方が変わるのが楽しいです。 今回は3回目の滞在。前回もカメラを持ってきていたのだけど、なんとなく「撮らせてください!」と切り出せなくて、今回初めて写真を撮らせてもらえることになりました。都内有数のお気に入りの場所で

    会話が禁止されている、静寂を楽しむ空間。高円寺「アール座読書館」